ハンズフリーインカムは、通信ボタンなどを押す必要が無く、手を使わずに通信ができるインカムです。手を使わずに通信ができるため、工場などの両手で作業をしなければならない環境で、大きな活躍が期待できます。

しかし、さまざまなモデルが発売されているため、どのようなモデルを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。そこで本記事では、工場におけるハンズフリーインカム導入のメリットと、おすすめの機種を紹介します。

工場でのハンズフリーインカム利用のメリット

ハンズフリーインカムを工場へ導入することは、業務効率の大幅な改善が期待できます。工場はその特性上、情報伝達のために広い敷地内を移動しなければならないなど、コミュニケーションコストがかかりがちです。

ハンズフリーインカムを導入することで、こうしたコストを削減して、スムーズにコミュニケーションがとれることで、効率的に業務をこなせるようになるでしょう。

手を止めずに通話できる

VOX機能を持つハンズフリーインカムを活用すれば、手を止めることなく、インカムで通話できます。VOX機能は、マイクに向けて声を出すと、自動で音声を認識して、通信が開始される仕組みです。

たとえば、高速でベルトコンベアが流れる工場の生産ラインでの業務や、両手で機械の操作が必要となるようなシーンでも、声を出すだけで、手を止めずに通信できるため非常に便利です。

円滑なコミュニケーションが取れる

ひとことで工場といっても、規模や環境はさまざまです。製造機械の動作音が日常的に鳴り響いている工場もあれば、敷地内の移動に自転車が必要なほど、広大な敷地の工場もあります。

このような環境でコミュニケーションを取る際、機械の動作音が障害となったり、会話をするために敷地内の移動が必要だったりと、スムーズにコミュニケーションが取れない可能性があります。

しかし、ハンズフリーインカムを導入すれば、イヤホンを使うことで、機械の動作音が鳴り響いている環境でも、大声を出して意思疎通する必要がありません。

複数人へ一斉指示・共有ができる

工場は敷地が広く、スタッフも各所に散らばっています。こうした状況で全スタッフに情報を共有したり、指示を出したりするには、朝礼や休憩時間などの人が集まれる時間で指示を出すしかありませんでした。

ハンズフリーインカムを各スタッフに持たせておくことで、全スタッフへ一斉に指示出しが可能です。スタッフが工場内のどこに散らばっていても、リアルタイムで指示を出せるため、全スタッフを集合させる必要もありません。緊急の要件があるときも、瞬時に情報を共有できます。

確認・管理の時間が短縮できる

工場はさまざまな業者が出入りし、頻繁に荷物が搬入・搬出されます。たとえば、製品の製造に使う材料が搬入されることもあれば、製造が終わった製品を出荷することもあるでしょう。

このような場合に発生するのが、在庫管理業務です。どの業者からいくつの材料が搬入され、製品をいくつ搬出したのかといった情報を管理する必要があります。

ハンズフリーインカムを導入し、搬出予定の荷物の準備状況や業者の到着状況などの情報を、コアメンバー間で連携してやり取りすることで、業務を大幅に効率化できるでしょう。

小型であれば負担になりにくい

現在のハンズフリーインカムは小型化が進んでおり、ハンディサイズの小さな無線機も多く販売されています。本体重量も250g程度の製品が多く、スマホやタブレットと同程度の重量のため、ポケットに入れていても大きな負担を感じにくいです。

工場見学でも活躍

参加者の多い大規模な工場見学などを行う場合、スタッフの説明の声が参加者に届きにくい場合があります。工場はさまざまな機械による騒音でスタッフの声が聞き取りにくく、参加人数が多い場合は、スタッフから離れてしまうこともあるなど、全員に声を届けるには工夫が必要です。

ハンズフリーインカムを導入すれば、各参加者にスタッフの声を確実に届けられるようになり、効率的に工場見学を行えるようになるでしょう。全員が不自由なく説明を聞けることで、工場見学に対する満足度向上も期待できます。

工場でのハンズフリーインカム導入の注意点

ハンズフリーインカムは、適切に使えば業務効率を大幅に向上できる可能性があります。しかし、機種によっては通信距離が短いものや重さがある機種も存在するため、ポイントを抑えた機種選定が大切です。

工場規模に合わせた端末を選ぶ

工場の敷地は、テニスコート数面程度の狭いものから、自転車での移動が必要になるほどの広大な敷地のものまで、さまざまな工場があります。

同様に、インカムもさまざまなものがあり、種類や機種により、通信可能距離が異なります。したがって、工場の規模に合わせた端末を選ぶことが大切です。

たとえば、特定小電力タイプの機種は、資格や登録なしで使える手軽さがありますが、出力が低いため、通信距離が短いことが特徴です。見通しのよい場所では2km程度まで通信できますが、見通しの悪い場所や電波の通りにくい金属に囲まれた場所などにおいては、10m程度でも通信不良を起こす可能性があります。

IP無線機は通信距離の制限が無く、電波が入る場所であればどこでも使えますが、小規模な工場であれば、そこまでの通信距離は必要ないでしょう。したがって、機能を持て余すことのないよう、工場の規模や使い方に応じた適切な機種を選ぶことが大切です。

負担にならないサイズのものを選ぶ

工場のスタッフは、巡回などで動き回ったり、立ち仕事を行ったりする場合も少なくありません。そのため、身につけるものはなるべくコンパクトで軽量である方が、スタッフへの身体的負担は少なくなるでしょう。

近年では技術の進歩により、小型で軽量の製品も多く販売されています。クリップなどで服に挟めるものや、ポケットに収まるサイズの製品を選ぶとよいでしょう。

導入時予算にあわせて選ぶ

無線機の導入は、端末を購入、またはレンタルする方法があります。業務などで長期的に使用する場合は、端末を購入した方がコスト的に優れるでしょう。

しかし、1度だけしか行わない工場見学やイベント、一時的なスタッフの増員などのために導入するのであれば、購入よりもレンタルした方がトータルコストを抑えられる場合があります。

導入にあたっては、端末代だけでなく、ランニングコストも考えなければなりません。機器を購入した場合は、バッテリー交換などのメンテナンス代、レンタルした場合は、月額のレンタル料金が発生することを考慮する必用があります。

また、近年ではスマートフォンにインストールすることで、IP無線を使えるようになるアプリも多数リリースされています。費用的に、全スタッフへ無線機を配備することが難しい場合でも、スタッフが所有しているスマートフォンに、アプリを導入してもらうことで、手軽に環境を構築できます。

いずれの方法もそれぞれにメリット・デメリットがあるため、予算と使い方に応じた適切な方法で導入を検討しましょう。

工場での利用におすすめの無線機

すべての無線機が、工場での利用に適しているわけではありません。工場は構造が入り組んでいたり、電波の通りにくい金属で建物が構成されていたりするなど、構造上の特性があります。

無線機の選定を行う際は、構造上の特性を考慮し、機能や性能が工場に最適化されているものを選ぶことが大切です。

無線LANトランシーバー「IP110H」

アイコムの「IP110H」は、Bluetooth機能を搭載した高い機動性が特徴の無線LANトランシーバーです。

通常のトランシーバーは、無線機本体にイヤホンを接続し、ケーブルを耳まで伸ばす必要があります。とくに工場においては、移動や作業中にケーブルが機械に引っかかったり、機械に巻き込まれたりする可能性もゼロではありません。

アイコムのIP110Hは、Bluetoothに対応しているため、同じくBluetooth対応のヘッドセットのペアリングさせることで、わずらわしいケーブル無しでワイヤレス通信ができ、作業中にケーブルが巻き込まれる心配もありません。

また、無線LANアクセスポイントを増設することで、通信範囲が拡張できます。障害物が多く、良好な通信状況を保ちにくい環境でも、アクセスポイントを増設することで、快適に通信できるでしょう。

Bluetoothに対応しているアイコム「IP110H」の詳細は、こちらから確認できます。

LTE無線機「IP502H」

アイコムの「IP502H」はIP無線機として、初めてデュアルSIMに対応したモデルです。IP無線機は、スマートフォンと同じようにデータ回線を利用して通信を行う無線です。

データ回線は災害などの非常事態や大規模なイベントがある場合に、同時に複数の人が同じ回線を利用することによって通信が混雑し、通信品質が不安定になる場合があります。

IP502Hは、デュアルSIMに対応しているため、そのような状況下でも安定した通信を確保できます。災害などで通信が混雑している場合は、別の通信回線に切り替えることで、混雑に巻き込まれることなく通信ができるでしょう。

通信混雑の影響を受けにくいアイコム「IP502H」の詳細は、こちらから確認できます。

特定小電力トランシーバー「DJ-P400」

アルインコの「DJ-P400」は、特定小電力トランシーバーとして業界で唯一、複数人の同時通話に対応しているモデルです。

作業用連絡無線の外付け装置がなくても、本機だけで4人まで同時通話が可能です。クレーン作業やイベント進行など、複数人で同時に会話しながら作業を進めたいシーンの利用におすすめです。

Bluetoothにも対応しているため、ワイヤレスヘッドセットとペアリングさせることで、わずらわしいケーブルなしで通信できるのも魅力です。

複数人で同時に会話ができるアルインコ「DJ-P400」の詳細は、こちらから確認できます。

まとめ

本記事では、工場におけるハンズフリーインカムの活用方法やおすすめの機種を紹介しました。工場は入り組んでいて見通しが悪かったり、担当者が持ち場を離れられなかったりなど、建物の特性や業務のスタイルも特徴的です。

ハンズフリーインカムを導入する際は、特性を考慮した最適な機種を選定することで、業務の効率を大幅に高められるでしょう。

ジャパンエニックスでは、さまざまな業種ごとに、おすすめの無線機をご提案しています。業界・用途に応じておすすめの機種を絞り込んでご紹介しておりますので、ご自身のビジネスに合う機種が簡単に見つかります。

製品に関するお問い合わせやご検討の際は、ぜひジャパンエニックスにご相談ください。