デジタル簡易業務用無線機という言葉は聞いたことがあるものの、実際にどのようなものなのかわからない方もいるでしょう。とくに、IP無線機との違いやデジタル・アナログの違いを理解するのが難しいと感じる方もいるかもしれません。
そこで今回は、デジタル簡易業務用無線機の特徴や、IP無線機との違い、利用方法などを解説します。
デジタル簡易業務用無線機とは
デジタル簡易業務用無線機とは、簡易業務用無線機のうち、デジタル通信方式の電波を利用した無線機のことを言います。デジタル通信方式の簡易無線は、アナログ方式に比べると音質がクリアで秘話性が高いのが特徴です。後述しますが、アナログ通信方式は電波法の改正により廃止されることが決まっているため、今後はデジタル通式方式が主流となってくるでしょう。
電波法関連法令の改正
電波法の改正により、アナログ簡易無線局の周波数の使用期限が、令和6年11月30日までに設定されました。これにより使用期限までに業務用無線機の使用を廃止したり、総合通信局への変更申請を行ったりしなければなりません。
万一、使用期限が過ぎたあとも変更申請を提出せず、そのままアナログ無線機を使用した場合は電波法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となってしまうため注意が必要です。
株式会社ジャパンエニックスでは簡易業務用無線機を中心に、IP無線機や特定小電力トランシーバーなどを幅広く扱っています。免許申請が必要な無線機もしっかりと対応いたしますので、簡易業務用無線機をはじめて利用する方でも気軽に相談できます。
デジタルとアナログの違い
ひとえに業務用無線機といっても、デジタルとアナログに分けられ、通信距離や音質など、それぞれ特徴が異なります。ここでは、デジタルとアナログの違いを詳しく見ていきましょう。
通信距離
もともとアナログ無線機を使っており、通信距離を改善するためにデジタル無線機の購入を検討されている方もいるでしょう。しかし、デジタルとアナログとでは、電波法式が異なるのが大きな違いであり、通信距離については大きな差はありません。
しかし、実際にデジタル無線機とアナログ無線機を比較すると、アナログ無線機の方が、デジタル無線機よりも通信範囲が広いと感じるという声をたくさん見かけます。この背景には、デジタル無線機のノイズカット機能が影響していると考えられるでしょう。
一般的なアナログ無線機の場合、通信距離が遠くなるとノイズが交じるものの、音声を拾うこと自体は可能です。しかし、デジタル無線機は雑音をデジタル機能によってカットするため、通信距離が遠くなることで通常の音声が弱まり、音声が聞こえなくなってしまうのです。
通信距離自体に大きな差はないものの、ノイズカットによって音声が聞こえなくなっていることから、通信距離に差があると考えられるようになっています。
音質
デジタル無線機は雑音などのノイズをカットする機能がついているため、アナログ無線機よりも音質が綺麗です。さらに、スピーカーやデジタル処理機能の精度が向上していることも、音質に影響しています。
そのため、音質についてはアナログ無線機よりも、デジタル無線機に軍配が上がるでしょう。
傍受や混線のリスク
傍受や混線のリスクは、アナログ無線機の方が高いといえるでしょう。アナログ無線機は、定められた周波数に電波を乗せて発信することから、周波数を特定されると、簡単に傍受されてしまいます。
一方、デジタル無線機の場合は第三者に周波数を知られたとしても、それぞれのユーザーコードを設定すれば、傍受されるのを防げます。さらにモデルによっては、秘話モードが備わっているものもあり、傍受されるリスクは限りなく低いといえるでしょう。
なお、アナログ無線機とデジタル無線機ともに特定の周波数が割り当てられるため、アナログ無線機よりも混信リスクが低いのが特徴です。ただし、混信リスクがゼロではないことを留意しておきましょう。
バッテリーの持ち
業務用無線機の使用を検討するにあたり、バッテリーの持ちが気になる方が多いでしょう。一般的に、デジタル無線機はさまざまな機能がついていることから、バッテリーの減りが早いとされています。
一方、アナログ無線機はデジタル無線機ほどの電力が必要ないため、バッテリーの持ちがよいのが特徴です。
IP無線機との違い
デジタル簡易業務用無線機を検討するうえで、IP無線機との違いが気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、IP無線機との違いを詳しく解説します。
IP無線機の特徴・メリット
IP無線機は携帯電話の通信網を使って通信を行います。携帯電話のパケット通信がつながる場所であれば、基本的にはどこでも利用できるのがIP無線機の特徴です。さらに、デジタル無線機やアナログ無線機よりも、広範囲に通信できるのがメリットといえるでしょう。
そのほか、IP無線機はいずれのモデルの場合でも、免許や資格は必要とされていません。免許や資格が必要ないことから、導入ハードルが低く、はじめての方でも気軽に持てることが魅力です。
なお、デジタル無線機やアナログ無線機と比べると送信出力が小さく、小型バッテリーを搭載したモデルが多いため、IP無線機は軽いのが特徴です。構造上の利点もあることから、昨今はIP無線機を視野に入れて検討する方も多いです。
デジタル簡易業務用無線機の利用方法
デジタル簡易業務用無線機には、登録局と免許局の2種類があります。いずれも耐久年数や通信範囲の差はほとんどありませんが、それぞれ目的や特徴が異なります。
ここでは、免許局や登録局への申請方法に加え、それぞれの違いを詳しく解説します。
免許局または登録局の申請
無線機を利用するにあたり、免許局と登録局、どちらも総務省へ申請しなければなりません。簡易業務用無線機の免許は5年間有効であることが基本であり、継続して使用する場合は更新手続きが必要です。
なお、株式会社ジャパンエニックスでは、申請手続きのサポートを行っているため、申請方法がわからない方や更新手続きが不明な方は、一度弊社にご相談ください。
免許局
免許局とは、法人などの組織が業務に利用することを前提とした無線局のことであり、無線１台１台に免許が必要です。また、団体での業務利用が目的であるため、団体以外の人の免許局の利用や貸し出しは認められていません。
登録局
一方、登録局は、電波法で定められている免許が必要なく、業務用としてはもちろん、幅広い用途で使用することを目的とした2008年に制度化された比較的新しい無線局のひとつです。事前に登録の申請を出すことで、法人や団体などの組織だけでなく個人での利用もできます。免許を所有している人に使用が制限される免許局に対し、登録局の場合は、登録者以外でも使用できるので、レンタル無線機としても貸し出しが可能です。
免許局よりもチャンネル数が少なく、混線する可能性もゼロではありませんが、事前登録と簡単な申請で利用できることから、昨今人気が高まっているといえるでしょう。
登録局は、全国各地にある総合通信局全国各地にある総合通信局へ必要書類と開設届を提出し、審査に通れば、登録状が郵送されます。
それでも登録方法がわからず購入を躊躇っている方もいるでしょう。株式会社ジャパンエニックスでは、登録局の申請に関するサポートも行っています。
デジタル簡易業務用無線機の活用シーン例
デジタル簡易業務用無線機に興味はあるものの、実際どのようなシーンで活用できるのか、イメージがつきにくいという方もいるでしょう。ここでは、デジタル簡易業務用無線機の活用例を詳しく見ていきましょう。
倉庫など広い敷地内での作業
デジタル簡易業務用無線機があれば倉庫などの広い敷地内でも通信でき、スタッフ同士のコミュニケーションが取れます。約1～5kmの範囲であれば通信できることから、広大な物流倉庫や複層階層の建物内においても利用できます。
なお、障害物が多い場合は電波が届きにくいことがあるため、高出力のデジタル簡易業務用無線を選ぶとよいでしょう。
大規模イベント会場での連携
デジタル簡易業務用無線機は屋内利用のみならず、屋外での利用にも最適です。たとえば、花火大会や音楽イベント、夏祭りなどの大規模なイベント会場において、スタッフ間でのコミュニケーションが必要な場合でも、デジタル簡易業務用無線機があれば通信できます。
通信範囲もイベント会場内におさまることが多いので、スタッフ同士の連携をスムーズに行いたい方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、イベント会場が広大で幅広い通信範囲に対応したモデルが必要なときは、高出力のデジタル簡易業務用無線機を選ぶのがおすすめです。
警備や交通整理業務
デジタル簡易業務用無線機は、警備や交通整理業務においても非常に役立ちます。たとえば、工事現場やイベント会場における交通整理や人の誘導時、警備員同士での連携が必要な場合も少なくありません。そのほか、ショッピングセンターや大型ビルの警備活動においても、警備員同士や警備会社間でのコミュニケーションが必要です。
デジタル簡易業務用無線機があれば緊急時はもちろん、通常時の車や人の誘導などをスムーズに行えます。
まとめ
デジタル簡易業務用無線機とその利用方法などを解説しました。
法人や団体のみならず個人でも利用でき、新しいコミュニケーションツールとして注目されています。
しかし、さまざまな種類があり申請が必要であるため、はじめて利用する方は、何から始めればよいかわからない場合もあるでしょう。
株式会社ジャパンエニックスでは、デジタル簡易業務用無線機の機種の選び方はもちろん、利用申請のサポートもしっかりと対応させていただきます。無線機が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。