トランシーバーや無線機は、音声の送受信に電波を利用します。通常、固定された周波数のチャンネルが設定されており、同じチャンネル同士で通信が可能です。
しかし電波にはさまざまな種類があり、その特性は周波数によって異なります。
無線機の導入を検討している方は、どちらを選べばいいのか悩むこともあるでしょう。

そこで本記事では、無線通信の周波数帯であるVHFとUHFについて、周波数帯や波長・バッテリー寿命・利用用途に焦点を当てて、それぞれの違いを詳しく解説します。デジタル無線機へのスムーズな移行や高い通話品質を誇るおすすめの無線機も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

VHF・UHFとは

業務用途で使われる無線機は、一般的にVHFとUHFの2つの周波数帯に大きく分けられます。
通信機器の周波数帯は、ITU(国際電気通信連合)によって業務の種別や目的に応じて定められています。これにより、異なる業務に使われる通信機器が干渉せずに効率的に動作できるようになります。
VHF・UHFそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

VHF:超短波

VHFは超短波(Very High Frequency)と呼ばれ、波長が1〜10mの電波を指します。直進性が高く波長が比較的長いため、山や建物の陰があってもある程度回り込んで電波が届く特性があります。
波長が比較的長いため障害物を通り抜けやすく、相対的に長距離での通信が可能です。建物内の障害物に対して影響を受けやすく、屋外や開けた場所での通信に適しているでしょう。

超短波は直進性が高く障害物を回り込んで通信が可能なため、長距離通信に適しています。

UHF:極超短波

UHFは極超短波(Ultra High Frequency)と呼ばれ、波長が10㎝〜1mまでの電波を指します。VHFと比較して波長が短いため、より高い周波数を扱えます。またガラスや木材などはある程度通過して通話が可能です。
しかし波長が短いため建物や地形などの影響を受けやすく、障害物があると通話品質が低下する可能性があります。

VHFとUHFの違い

VHFとUHFはそれぞれ異なる特性を持ち、さまざまな用途に利用されています。それぞれ異なる特性を持つため、通信要件や環境に最も適した周波数帯を選択することが重要です。
ここではVHF/UHFそれぞれの周波数帯や波長、バッテリー寿命、使用用途を詳しく紹介します。

違い1:周波数帯

無線機では通信に使用する周波数帯が重要です。周波数とは波が1秒間に何回振動するかを示し、低い周波数では振動が少なく、高い周波数では振動が多くなります。
VHFは30MHzから300MHzと比較的低い周波数帯である一方、UHFは300MHzから3GHzまでの高い周波数をカバーします。周波数が異なると電波の伝わり方や情報伝送量なども異なるため、利用目的に応じて適切な周波数帯を選択しましょう。

しかし警察や消防、タクシー会社、イベント運営会社など、それぞれの業種で使用される無線機には、混信や情報漏洩を防ぐため特定の周波数帯が割り当てられています。たとえば警察が緊急時に通信を行う際、ほかの業種の無線通信と干渉してしまうと重大な問題が発生する可能性があります。そのため、各業種が使用する周波数帯が厳密に管理されている点を忘れないようにしましょう。

違い2:波長

波長は無線通信に使用される電波の波の長さを指します。波長が長ければ、信号は障害物を通過しやすく、長距離通信に適しています。一方波長が短いと高速な通信が可能ですが、障害物に弱い傾向があります。
VHFの波長は比較的長く、1〜10mの範囲です。障害物を通り抜けやすく、山や建物の陰にもある程度回り込んで通信ができます。一方UHFの波長はVHFよりも短く10cm〜1mです。波長が短いため、障害物の影響を受けやすくなります。

携帯電話やスマートフォンは、通常2000MHz(2GHz)付近の周波数を使用しています。この周波数帯域では、波長が約15cmです。短い波長は小型のアンテナで効率的に受信や送信を行えます。
一方、世界と通信する航空機や船舶などの無線機は、VHFを利用するケースが一般的です。VHF帯の波長がUHF帯よりも長いため、船舶や航空機などの大型の通信機器には比較的大きなアンテナが搭載されています。

違い3:バッテリーの寿命

無線機は通常バッテリー駆動の装置なため、バッテリーの寿命は通信機器にとって重要です。バッテリー寿命は使用状況、充電方法、バッテリータイプなどによって異なります。
VHFは周波数が低いため、信号の伝送に必要なエネルギーが比較的少なく済みます。そのため、VHFの無線機は一般的にUHFの無線機よりもバッテリーの消耗が遅い傾向があります。

一方、UHFは高い周波数を使用するため、信号を送信するには多くのエネルギーが必要です。そのためUHFの無線機は通常、バッテリーの消耗が早い傾向にあります。とくに長時間連続で通信を行ったり、高出力の設定で使用したりする場合は、バッテリーの持続時間に注意が必要です。

違い4:利用用途

VHFの特性は信号が障害物を通りやすく、離れた場所との通信に向いています。短波に比べて多くの情報を伝えられるため、航空管制通信や防災行政、消防、列車、警察、アマチュア無線など、多岐にわたる業務用通信機に利用されています。
一方、UHFは波長が短く高い周波数を持つため、建物や山などの障害物を乗り越えやすく、近距離通信や高速データ伝送に適しているのが特徴です。情報量が大きく、小型のアンテナと送受信設備で通信できるため、携帯電話や無線LAN、ISM機器など、業務用無線で主に利用されています。

おすすめのVHF無線機

TCP-D143CR

従来のアナログ業務用無線機では、相手の声が雑音で聞き取れない、距離が離れると聞き取りづらくなるといった問題がありました。「TCP-D143CR」は、評価の高い4値FSKデジタル方式を採用。とくに通話品質に関して、従来のアナログ無線機に比べてノイズが少なく明瞭な音声で通話ができます。また画期的な「二重構造パネル」を採用して堅牢性を高め、防塵・防水レベル「IP54/55/67」という高い性能を維持しながら「2年保証」を実現しました。

高品質な通話と堅牢設計にこだわったケンウッド「TCP-D143CR」の詳細は、こちらから確認できます。

IC-DV75

データ通信にも対応したBluetoothユニットを搭載しており、オーディオイヤホンの無線化を実現し、アクセサリケーブルがないことで高い機動性が要求される業務での円滑な運用ができます。その他、通信相手の位置が分かるGPSレシーバーや、3チャンネルに即座に対応することができるサブチャンネルPTT機能など多彩な機能を搭載しました。また、クリアな音質で通信できるデジタルモードと、従来のシステムと併用できるアナログモードを搭載しております。

高音質・多機能のデジタル/アナログ無線機。アイコム「IC-DV75」の詳細は、こちらから確認できます。

SR820V

堅牢設計のIP68相当を誇る防塵・防水性能を搭載し、過酷な現場でも安心して使用できます。また本体の厚さは29.4mm、重量は250gのコンパクト設計にも関わらず、約16時間の運用が可能な1900mAhリチウムイオン電池パックを搭載し、業務中の電池切れも気にせずご利用いただけます。本体内蔵スピーカーは800mWの大音量かつ高音質でノイズキャンセル機能による雑音の少ない音声を実現し、騒音化でもクリアでより確実な連絡を行うことが可能です。

高い堅牢性と基本性能、多彩な機能を備えたスタンダードホライゾン「SR820V」の詳細は、こちらから確認できます。

TCM-D144

VHF帯デジタル化に対応した車載型簡易業務用無線機です。音響機器メーカーの先進技術を活かした高音質設計で高い通話品質のため、クリアな音声で通話ができます。ケンウッドの旧アナログ車載無線機と同等サイズでスムーズに付替可能です。車載型ですが、専用電源と組み合わせることで事務所用据置機としても使用できます。

車載型でありながらも高音質にこだわった、ケンウッド「TCM-D144」の詳細は、こちらから確認できます。

まとめ

電波は無限に存在しない、有限で希少な資源です。そのため、電波の利用は公平かつ効率的に行われる必要があり、電波法という法律によって電波の出力や周波数が規制されています。
しかし、違法無線と呼ばれる電波法に違反する無線機が販売されているケースも少なくありません。電波法は公共の電波環境を保護し、電波の利用を適切に管理するために定められており、違反する無線機の仕様は違法行為です。

無線機の電波に悩んだ際は、ジャパンエニックスへぜひご相談ください。
長年にわたり無線機の販売やシステム構築、保守に取り組んできた弊社は、無線機に関する問題やニーズに対応するための知識とノウハウが豊富です。お客様のニーズに合わせた最適機種をご提案いたします。