インカムは、イベントや警備、ブライダル、施設管理など様々な現場で使用される便利なコミュニケーションツールです。しかし業務中に使用するケースがほとんどのため、インカムのケーブルが邪魔になったり、手が離せない時に通話したくなったり、不便に感じることがあります。

そこで、本記事ではインカムをワイヤレス化する方法について紹介します。インカムをワイヤレス化するには、Bluetooth対応のヘッドセットやハンズフリーのワイヤレスイヤホン、Bluetoothイヤホンなどが必要です。インカムをワイヤレス化すれば、建築業界などでは仕事の安全強化にもつながりますし、より一層業務の効率化ができるでしょう。

次から具体的にワイヤレス化する方法やメリット、そのほか注意点やおすすめのインカムを詳しく紹介していきますので、インカムのワイヤレス化を検討している方はぜひチェックしてみてください。

インカムをワイヤレス化する方法

インカムをワイヤレス化する際は、一般にBluetoothを使ってペアリングを行いますが、メーカーやデバイスにより多少手順の違いがあります。

ここではBluetoothを使ったワイヤレス化の基本的な手順を解説していきます。

Bluetoothとは

Bluetoothとはデジタル機器を無線で通信できる無線通信規格の1つで、近年ではスマホやパソコンなどに内蔵されていることが多いです。対応する機器同士ならケーブルを接続しなくてもデータをやり取りできることが特徴で、具体的には極超短波の2.4GHz帯でデバイス同士が通信している状態です。

対応するデバイスの内部には受信機とソフトを搭載したチップが埋め込まれており、チップ同士が互いに影響し合うことで、接続できる仕組みとなっています。対応範囲は電波強度を示すClassにより決まり、高いClassの機器と低い機器を接続した場合は、低い方のClassに合わせて接続され、最も短いものは半径10m程度の通信距離です。

Bluetoothは利便性の高さから、パソコンやスマホ、周辺デバイスの接続に使われることが多いですが、Bluetoothを搭載するインカムもあります。また、Bluetoothは国際標準規格のため、メーカーや製造国に関係なくデバイス同士間で接続できることも魅力でしょう。

さらに、モバイル通信技術の5Gや4Gとは異なり、対応するデバイスがあれば通信できるほか、通信料がかからないこともポイントです。

ワイヤレス化の手順

インカムをワイヤレス化する際の基本的な手順を紹介します。

1.接続したいデバイスの電源ボタンを長押ししてペアリングモードで待機
2.デバイスが検知できたらインカム側のボタンを押して接続する
3.画面にBluetoothコンビネーションマークが表示されたらペアリング完了

ペアリング完了後はすぐにワイヤレスで通信可能となりますが、なかにはペアリング後に再起動が必要な機種もございます。

ワイヤレス化可能な無線機

Bluetoothを搭載した無線機なら、ワイヤレス化をすることでハンズフリー通話ができます。携帯電話のデータ通信網を使うIP無線機やスマホインカムのトランシーバーアプリも、ワイヤレスで通話ができます。

ワイヤレス化のメリット

インカムをワイヤレス化すると、ケーブルの煩わしさから開放されるなど物理的なメリットがあります。このほかにもメリットがあり、さまざまなシーンで活用されています。どのようなメリットがあるのか確認していきましょう。

メリット1:手作業が多い職種との相性がいい

ワイヤレス化したインカムは手作業が多い職種との相性がよく、活用しやすいことが挙げられます。たとえば作業服のポケットなど、胸元や肩などに装着すればハンズフリーで通話ができるため、作業をしながらでも話せます。

通話の際は片手でインカムを操作するだけなので、作業に支障がでることもほとんどありません。簡単に操作できることもメリットといえるでしょう。

円滑なコミュニケーションをスピーディーに取れること、通話により作業効率低下を予防できることも魅力の1つです。

メリット2:機材が多い現場でも安全性が高い

建築現場やイベント会場など機材が多い現場では、有線の場合ケーブルが引っかかりやすく、転倒や機材の倒壊などのリスクがあります。しかしワイヤレスにすることで、これらのリスクを軽減し現場の安全性を高められます。

また、現場内で移動が伴う場合でも移動しながら話せることや、一斉に情報伝達できることは生産性の向上が期待できるでしょう。

メリット3:スマートな印象を与えられる

有線のインカムに比べてケーブルがない分、見た目がすっきりして見えます。コンパクトサイズのインカムであれば服装のイメージを損なわずに済むため、スーツ着用時などはより一層スマートな印象になるでしょう。仕事中の見栄えがよくなると、モチベーションアップにもつながります。

ワイヤレス化するに当たっての注意点

インカムのワイヤレス化は、比較的簡単にできますが、実際に行う際は注意しておきたいことがいくつかあります。切り替える前に1度チェックしておいてください。

注意1:バッテリー消耗の対策

Bluetooth機器の多くは充電式のため、充電切れには注意が必要です。電池残量が少なくなると動作が鈍くなるなど、通信にも影響を及ぼします。充電切れになると通信できなくなるため、定期的に充電するなどの対策が必要です。

また、充電式のデバイスのほとんどはUSB充電のみで、乾電池などで代用はできません。そのため、長時間使用するときやバッテリーの消耗が気になるときは、事前に充電できるものや環境を準備しておくとよいでしょう。

加えて、使用頻度が高く頻繁に使うデバイスの場合は、何度も充電を繰り返すことでバッテリー自体が消耗しやすくなります。充電してもすぐに放電してしまい、寿命を縮めてしまう可能性があるからです。連続稼働時間は製品により異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

充電切れのリスクを考えると、緊急時にインカムを使わなければならない職種や業種の場合は、ワイヤレスでの通信を避けるか、有線との併用などの対策が必要です。

注意2:電波干渉への懸念

Bluetoothは2.4GHz帯の周波数を使用して通信を行うため、対応機器が近くで使われると電波が干渉されることがあります。混信とまではいかなくとも、電波干渉によるノイズが入ったり通信が途切れたりするのです。

Wi-Fiでも同じような現象が起こることがあるので、電波干渉については十分な注意が必要です。また、近年はさまざまな場所でBluetoothやWi-Fiが使用されています。こうした電波干渉は、どこで起きても不思議ではありません。

とくに、仕事で使用する場合は安定した通信が求められることから、状況によっては有線での通信の方がよい場合もあります。

Bluetooth対応おすすめインカム

Bluetooth対応でワイヤレス通信におすすめのインカムを5選紹介します。購入・レンタルのどちらにも対応しているので、インカムの導入を検討している方は、それぞれの製品の特徴や強みをチェックしていきましょう。

特定小電力トランシーバー

特定小電力トランシーバーでは、ICOM「IC-4120BT」スタンダードホライゾン「SRS220SA」の2点をご紹介します。どちらも500m程度までの通信距離の製品です。

ICOM「IC-4120BT」
「IC-4120BT」は、Bluetoothに対応するイヤホンなどとのワイヤレス接続により、移動中や作業中でもケーブルのトラブルなく使用できます。瞬時に通話相手を切り替えられるサブチャンネルPTT機能を搭載しており、サイドキーにサブチャンネルを割り当てることで、通話相手をワンタッチ切り替えできることが特徴です。

また、中継器「IC-RP4130GW」を使用すると通話距離を2倍にできるほか、LAN接続により、大型の店舗・施設・ビルなどでも使用できる製品です。

「IC-4120BT」は人や物が多いイベント会場、移動が多い工場や倉庫などでの作業におすすめです。状況の把握や安全確保、素早い情報伝達の際にも最適です。

スタンダードホライゾン「SRS220SA」
「SRS220SA」は、オプションアクセサリ「SSM-BT10」の使用によりケーブルレスを実現します。本体が小型軽量なうえに、ショートアンテナにするとよりコンパクトになることが特徴です。

CUE(キュー)機能による緊急通知機能に加え、複数のチャンネルをスキャンしながら待ち受けを行うマルチチャンネル待ち受け機能など、業務効率を高める機能を搭載しています。ホテルや飲食店などをはじめとする、さまざまな接客業に向いています。

デジタル簡易業務用無線機

デジタル簡易業務用無線機では、ICOM「IC-DPR4」(登録局)と、KENWOOD「TCP-D261BT」(免許局)を紹介します。

ICOM「IC-DPR4」
「IC-DPR4」は1km程度までの通信距離、幅5cm・高さ9.3cm・厚み2.7cm・重さ148gの小型軽量に加え、特定小電力トランシーバーより電波の飛びがよい2W出力トランシーバーです。

micro USB Type-Bで充電できるため、外出先やパソコンなどでも手軽に充電できます。地上利用向け30チャンネル、上空利用向け5チャンネルを実装、上空でも会話できることが魅力です。簡単な手続きでレジャー・ビジネスどちらにも使えることもポイントです。

ICOM「IC-DPR4」の詳細は、こちらからも確認ができます。

KENWOOD「TCP-D261BT」
「TCP-D261BT」は5km程度までの通信距離に対応する、大人気機種「TCP-D251C」の後継機です。KENWOOD製のBluetoothヘッドセットKHS-55BTに対応するなど、進化し続けるトランシーバーです。

送信から受信までの時間を約30%短縮し、騒音下やマスク越しでも聞き取りやすいことが特徴です。また、本体およびバッテリーには抗菌・抗ウイルス材の空気触媒「セルフィール®」を採用、さらに業界初のSIAA抗菌認証を取得し、幅広いシーンで共用運用をサポートします。

KENWOOD「TCP-D261BT」の詳細は、こちらからも確認ができます。

IP無線機・LTE無線機

ICOM「IP502H」
IP無線機・LTE無線機では、ICOM「IP502H」を紹介します。携帯電話の通信網を使用するため、日本全国通信可能、通信距離の制限がないことが特徴です。au 4G LTEでの通信に加え、新たにNTTドコモ 3G/LTEにも対応しいずれかのキャリアを選択して契約でき、またどちらのキャリアも搭載できるデュアルSIMにも対応していることも魅力でしょう。

グループ通信・個別通信など目的に応じた方法と、人数制限なしの同日通話も可能です。オプションで地図上端末位置情報を表示もできます。

ICOM「IP502H」の詳細は、こちらからも確認ができます。

まとめ

インカムはBluetoothを使用することで、ワイヤレスにて使用できます。ケーブルがなくなることで、業務やコミュニケーションの効率化やケーブルを引っ掛けるなどのトラブルを回避でき、現場の安全性を高めることにも貢献します。

しかし、その一方で、バッテリーの消耗や充電の問題、電波干渉など気をつけなければならないこともあります。ワイヤレスと有線のどちらにするか迷ったときは、株式会社ジャパンエニックスにご相談ください。

無線機の導入はもちろんレンタルにも対応可能、使用する人数、頻度、環境、予算などお客様のご要望を満たす無線機をご提案します。