昨今では、専用の機器を準備しなくても使えるトランシーバーアプリが多数開発されていますが、トランシーバーアプリを初めて使う方は、無線機とどう違うのか、特別なメリットがあるのか気になることでしょう。

本記事では、トランシーバーアプリと無線機の違いや、選び方をご紹介します。この記事を読むことで、アプリと無線機を状況に応じて適切に使い分けられるようになります。ぜひ参考にして、自分にぴったりのトランシーバーアプリを導入しましょう。

トランシーバーアプリと無線機の違い

トランシーバーアプリと無線機には、通信距離や通信方式に違いがあります。状況によって使い分けることが、うまく活用するポイントです。ここでは、トランシーバーアプリと無線機の違いをご説明します。

通信距離

トランシーバーアプリは、無線機と違い、通信距離に制限がないことが特徴です。無線機は電波を使ってやり取りを行うため、電波が届く距離までしか通信ができません。高出力の無線機であれば長距離の通信が可能ですが、届出や資格が必要な場合があります。

いっぽう、トランシーバーアプリはスマートフォンのデータ通信を利用するため、距離の制限がありません。遠く離れた人と電話ができるのと同じように、現地から何百キロも離れていても安定したやり取りが可能です。さらに、資格や届け出も不要です。

通信方式

トランシーバーアプリは、無線機と通信方式が違います。無線機は電波でのやり取りですが、トランシーバーアプリはデータでやり取りを行います。通信方式が違うと、使い勝手が変わります。

無線機は、発信モードと受信モードを切り替える必要があるため、同時に通話ができません。たとえば、刑事ドラマなどで、無線での発言が終わったあとに「どうぞ」のように、発言終了の意思表示をしているのを見たことはありませんか?

無線機は同時に通話できないので、相手が話し終わるまで待ってから、話し始める必要があります。このため、こちらからの話は終わりましたという意味で「どうぞ」と促しています。(複信方式の無線機を除く)

トランシーバーアプリは仕組み上、発信モードと受信モードの切り替え操作が不要なので、同時に発言できます。

トランシーバーアプリのメリット

無線機とは違った側面を持つトランシーバーアプリですが、効果的に活用するにはメリットをしっかり把握しておくことが大切です。ここでは、トランシーバーアプリのメリットを紹介します。

使用中のスマホをそのまま利用できる

トランシーバーアプリは、アプリが対応しているスマートフォンを所持していれば、お使いの端末をそのまま利用できます。特別な機器や無線機を買う必要もありません。

たとえば、ツーリングで通話をする場合、無線機だと相手にも機器を導入してもらう必要がありますが、アプリであればその必要はなく、相手がスマートフォンを持っていればすぐに始められます。

インストールするだけで利用できる

トランシーバーアプリは、持っているスマートフォンに、アプリをインストールするだけで利用可能です。不要になったらアプリを削除すればよいだけなので、手軽に導入や廃止が行えます。

業務で多数のスタッフとの連絡環境を構築したい場合でも、アプリのインストールを利用者本人に行ってもらうことで、導入の手間をかけずに環境構築することができます。

さまざまなコストを削減できる

無線機の導入にはコストがかかります。イベント会場のスタッフ用に導入するとなれば、スタッフの人数と同じ数の機器を揃えなければなりません。

無線機は一部の機種でレンタルやリースも可能ですが、必要な数の機器を揃えるために時間やそれなりの費用が掛かることも想定されます。

使用用途によってはアプリであれば、それぞれのスタッフが持っているスマートフォンに、各自でアプリをインストールしてもらえば準備が整うため、時間も費用もかかりません。

いざというときもスムーズに連絡できる

トランシーバーアプリは、いつも身につけているスマートフォンにインストールするので、いざというときに所持している可能性が高く、緊急時にスムーズに連絡できます。

いっぽうで無線機は、業務以外では使わないため、会社で保管している場合も少なくありません。トランシーバーアプリは通信方式もデータ通信であるため、緊急時に電話回線がパンクしていても連絡可能です。

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トランシーバーアプリのデメリット

トランシーバーアプリは導入が手軽で、コスト削減にもなります。いっぽうで、トランシーバーアプリにはデメリットもあります。

どのようなデメリットがあるのかを把握し、効果的にアプリを使いこなせるようにしましょう。

バッテリーの消費が早い

トランシーバーアプリは、スマートフォンにインストールして使うため、使い方によってはバッテリー消費が早まります。

たとえば、ツーリングの際には、トランシーバーアプリに加えて、地図アプリを同時に立ち上げる場合もあるでしょう。複数のアプリを同時に立ち上げている場合は、バッテリーの減りも早くなります。

スマートフォンのバッテリーが無くなってしまったら、トランシーバーアプリの利用不可だけでなく、緊急連絡や地図の確認もできなくなってしまうため、常に電池残量に気を使う必要があります。電池残量が心配な場合は、モバイルバッテリーを併用することで解決できます。

限られたエリアでしか通信できない

トランシーバーアプリは、電話と同じように中継局を経由して、データ通信で会話を行います。そのため、山奥のように中継局がなく、圏外になってしまう場所では通信できません。

無線機の場合は、機器同士を直接接続するため、スマートフォンが圏外になってしまう場所でも使えます。登山のように中継局がなく、スマートフォンが圏外になりがちなアクティビティを行うときは、無線機を所持していたほうが安心といえます。

しかし無線機の導入にはコストがかかるため、気軽なツーリングや特定のイベントなど、ごく一時的な使用であれば、トランシーバーアプリでも十分でしょう。使用用途によって使い分けることが大切です。

アプリによっては品質が低い

トランシーバーアプリは、アプリによっては通信設定が複雑だったり、思った動作をしなかったりする可能性があります。とくに、無料のアプリの場合は、品質に不安が残る場合もあるでしょう。

気軽な使用であれば問題ないですが、雪山登山のように命がけの場合は、品質に不安のあるアプリを緊急連絡手段とするのは不安が残ります。

有料のアプリであれば、費用をかけているぶん品質についてはしっかり担保されています。緊急時の連絡を想定しているのであれば、有料アプリの導入も検討しましょう。

無料版は人数に制限がある

無料のトランシーバーアプリには、通信人数に制限がある場合があります。数人程度の小規模での使用であれば、おおむね問題はありません。

しかし、イベント会場のスタッフ全員と通信する必要があるなど、数十人規模で通信したい場合は、無料版のアプリでは不十分な場合があるでしょう。大人数で通信を行いたい場合は、有料のアプリの導入を検討する必要性があります。

また状況によっては購入やレンタルの方がトータルでコスト削減になる可能性もあります。

トランシーバーアプリの選び方

近年では、さまざまなトランシーバーアプリが開発されており、選択肢が豊富に用意されています。

しかし、選択肢が多すぎると、何を基準に選べばよいか迷ってしまうのではないでしょうか。ここでは、トランシーバーアプリの選び方と、おすすめのアプリをご紹介します。

日本語に対応しており直感的に操作できるか

トランシーバーアプリを選ぶ際は、日本語に対応しているアプリを選びましょう。トランシーバーアプリは、海外製のものも少なくありません。

操作メニューが英語で表記されているアプリもあるため、アプリを選ぶ際は、しっかり日本語翻訳されているものを選びましょう。

通信可能な距離はどのくらいか

トランシーバーアプリはデータ通信のため、データ通信できる距離であればどこでも使えるはずです。しかし、品質の悪いアプリの場合は、通信が不安定になることもあります。

緊急事態のときに通信が不安定では困ってしまうため、事前に通信品質などを確認しておきましょう。

どのような通信方式か

トランシーバーアプリの通信方式には、Wi-Fiや3G/4G、Bluetoothといった通信方式があります。

Wi-Fi方式の場合は、スマートフォンのネット回線を利用して通信を行うため、スマートフォンの電波が入るエリアであれば全国どこでも通信が可能です。事務所から遠く離れたイベント会場に指示出しをするときなどは、こちらの方式がよいでしょう。

Bluetooth方式の場合は、スマートフォン同士で接続します。Bluetoothは通信距離が短く、10〜20m程度の近距離通信に限られてしまいますが、電波が入らなくても使えます。雪山に数人で向かう場合など、お互いの距離が大きく離れない場合はBluetoothがよいでしょう。

アプリによって通信方式が異なり、それぞれ特徴があるため、用途に合わせて最適な方式のアプリを選ぶことが大切です。

繰り返し再生できるか

トランシーバーアプリのなかには、受信したときの1回だけしか音声が再生されないタイプがあります。しかし、大きな騒音のなかや、作業に集中しているときなどは、音声を聞き逃す可能性があります。

繰り返し再生できるタイプのアプリを利用すれば、万が一、重要な指示や会話を聞き逃してしまっていてもあとから確認できるため便利です。

おすすめのトランシーバーアプリ

ここまで、トランシーバーアプリは圏外でない限りどこでも通信ができて、インストールするだけで簡単に利用できるメリットがあること、いっぽうで圏外になりがちな山奥などでは、通信ができなくなるデメリットもあることをお伝えしました。

こういったデメリットを解消できるアプリが、ジャパンエニックスでも取り扱っているアイコムのトランシーバーアプリ「IP500APP」です。

IP500APPの最大の特徴は、アプリ同士での通信と、無線機との通信のどちらも可能である点です。

どちらとの通信もできるため、長距離通信したい場合はアプリ同士で通信をしたり、管理職と現場スタッフとで使い分けたりなど、さまざまな使い分けが可能です。臨機応変に使い分けできることから、最近ではホテルなどの業種でも導入が進んでいます。

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まとめ

本記事では、トランシーバーアプリと無線機では通信方式や通信可能距離が異なることや、長距離通信ならアプリが有利であるものの圏外の場所では通信できないため、山奥などで通信したいときは無線機による通信が有利であることをご説明しました。

それぞれ長所や短所があるため、特徴を理解して、状況に応じて使い分けることが、トランシーバーを効率よく活用するためのポイントといえるでしょう。

どのような状況でも使えるものがいいと考えている方は、IP500APPを導入することで、臨機応変に使い分けができますので、ぜひ導入しましょう。お手持ちのスマートフォンで動作するか心配な場合は、まずはジャパンエニックスに相談ください。