無線機は業務の効率化を推進してくれる便利なツールです。事業の規模にもよりますが数台手元に置いておくだけで仕事の進めやすさは大きく変わってきます。

しかし、一般的に無線機を使用するためには免許の取得と総務省の申請が必要となっているため、導入の際に若干の手間がかかります。

そのため「無線機を利用したいが手間がかかるため、導入すべきか迷っている」という方には、免許が不要な無線機の利用や免許が不要なレンタルでの利用がおすすめです。

今回の記事では、無線機の導入に迷っている方に向けて、免許不要の無線機の使い方について徹底解説していきます。ぜひ参考にしてください。

無線機の使用に免許が不要な条件

いくつかの条件を満たした無線機のみ無免許での利用が許されています。そこでこのトピックでは、無免許で使える無線機にどのような条件が課されているのかを解説していきます。

電波が微弱な無線局の場合

総務省令が定めている「発射する電波が著しく微弱な無線設備」に該当する無線局は、無免許での利用が認められています。

出力が1W未満であれば上記の定義に該当するとされており、具体的なツールとしては、ワイヤレスマイクやラジコン用発振器が挙げられます。

また後述しますが、無線機では特定小電力トランシーバーやIP無線機がいわゆる電波が微弱な無線局に該当します。

このように電波が微弱なものが免許不要とされているのは、公共の電波に対して影響を与えないとされているためです。

基本的に無線機の使用に免許が必要なのは、出力が強い無線機が自由に使えてしまうと公共の電波に悪影響を与えてしまうという背景があるからです。逆にいえば、公共の電波に影響を与えない無線機ならば、その使用に制限をかける理由がないのです。

市民ラジオの無線局の場合

市民ラジオの無線局に関しても無免許での利用が認められています。市民ラジオは「27MHz帯の電波を使用し、空中線電力が0.5W以下であって、かつ、技術基準適合証明を受けた設備」と定義されています。

市民ラジオは免許がいらない無線機としては最も歴史が長いものになります。1960年代に制度化された無線で、1980年代に免許が不要なツールとして認定されました。

ちなみに、市民ラジオは27MHzという低い周波数のため、交信を行うのが若干難しいです。しかし、夏になると大気の影響で利用しやすくなり、時には1000kmをも超える距離での通信が可能となります。

そのため、業務での使用は難しいですが個人的に興味のある方はぜひ利用してみてください。

また、市民ラジオと聞くと「不法市民ラジオ」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。この不法市民ラジオは名前の通り電波法を違反しているラジオで、国内で定められている規定を満たさないため、使用は避けましょう。

小電力かつ特定の用途に使用する無線局の場合

「小電力かつ特定の用途に使用する無線局」に該当する無線機に関しても無免許での利用が可能です。

総務省令で定める電波の型式および周波数を使用しかつ空中線電力が1W以下であることや、他の無線局の運用に妨害を与えずかつ技術基準適合証明を受けた無線設備であることが条件として求められます。

具体的なツールとしては、コードレス電話や小電力セキュリティシステム、陸上移動局、ワイヤレスカードシステムが挙げられます。

近年ではライフスタイルやビジネスのジャンルが多様化し、近距離での簡易的な連絡手段のニーズが高まっています。こうした背景もあり、無線機の需要は年々大きくなっており、すべての無線機の使用に制限をかけてしまうと世の中の動きに悪影響を与えてしまいます。

そのため、上記のような条件を満たしたものに関しては例外的に無免許での使用が認められているのです。

無線機をレンタルする場合

利用の際に免許が必要な無線機に関しても、レンタルという形で利用すれば無免許での利用が可能です。というのも無線機をレンタルして利用する場合、その利用者に関しては免許の取得が不要となるからです。

一般的に無線機の使用において免許の取得が求められるときというのは、無線機を購入してその所有権を獲得している場合を指します。そのため、購入していない場合には免許の取得が求められません。

また、無線機をレンタルして利用する場合は、レンタル業を行っている当事者のみ免許の取得が要求されます。

そのため、出力が強い無線機を気軽に利用したい方はレンタルによる利用がおすすめです。

なお、レンタルでの使用は購入費やメンテナンス費、そのほかのランニングコストといったさまざまな費用がかからないため、コストパフォーマンスの面でも優れています。

免許が不要な無線機の種類

免許が不要な無線機は主に2種類あり、それぞれに違った特徴があります。そこでこのトピックでは、無免許で使える無線機を紹介していきます。

特定小電力トランシーバー

特定小電力トランシーバーとは、410MHzから430MHzの周波数帯もしくは440MHzから470MHzの周波数帯を利用する無線局です。

従来の無線機に比べて出力が低く、そのぶん通話できる距離が短いです。具体的な通話距離としては50mから200m程度だとされています。

しかしその一方で、最も利用がしやすいトランシーバーだといえます。免許が不要であるのはもちろん、費用もリーズナブルであり使い方も簡単であるため気軽に利用できます。

また、通信距離は短いですがレストランやホールといった施設での利用は充分可能なため利便性の面でも心配ありません。

その他にも電力消費が少なくバッテリーが長持ちするなどさまざまなメリットがあるため、興味のある方は一度利用してみてはいかがでしょうか。

IP無線機

IP無線機とは、携帯電話のネット回線を利用して通信を行う無線機です。一般的なトランシーバーは電波を飛ばして通信を行うため通信距離が限られていますが、IP無線機は携帯電話のネット回線を使うため、携帯電話が通じる場所ならどこでも利用が可能です。

電波を使用していないため、このように利用範囲が広大であるにも関わらず免許の取得が必要ありません。したがって、利便性の面では抜群に優れているといえ、大規模なイベントや遠距離での通信を行いたい方におすすめの無線機です。

しかしいくつかのデメリットもあります。たとえば、通信費が毎月発生するため費用がかさむ点や、山間部などの携帯電話がつながらないエリアでは使用できない点は気になるポイントとなるでしょう。

無線機の使用に免許が必要な無線機の種類

ここまで免許が不要な無線機について解説してきましたが、大部分の無線機には免許の取得が必要です。

そこでこのトピックでは、免許が必要な無線機について紹介していきます。こうした一般的な無線機についての知識を深めると、免許が不要な無線機の特徴をより理解できるようになります。

デジタル簡易無線機

デジタル簡易無線機は簡易無線局の1つです。主な利用用途としては業務用の無線通信が挙げられます。警備業や物流倉庫、イベント運営などが具体的な利用シーンとして想定されます。

また、業務以外にも個人目的での利用も浸透してきており、キャンプなどのレジャーでよく利用されるようになってきています。

出力が最大5Wまで上がるため通信距離も比較的長く、最大で10km程度離れても通信が可能だといわれています。しかし、出力や通信を行う場所、遮蔽物の有無に通信距離が大きく左右されるため、若干ですが通信の安定性には欠けます。

とはいえ、利用用途の広さや通信距離の長さの面で優れているため、レンタルなどで気軽に利用する際にはおすすめな通信機です。

一般業務用無線機

一般業務用無線機は、公共性の高い業種で使われる自営陸上移動通信用の無線機です。
主に警察やタクシー、消防などの業種で利用されます。

簡易無線に比べて出力が高く、また専用の周波数帯を使うため通信網が安定しています。そのため、高度な通信システムを構築できます。

しかし、免許取得には条件が必要で基本的には公共性の高い用途に限られます。従って、広く一般的に使われる無線機ではありませんが、利用が認められている業種では安定的に利用されています。

MCA無線機

MCA無線機とは、中継局を経由して通信が行われる無線機です。無線機同士で直接電波の送受信を行う一般的な無線機とは異なり、全国に設置された中継局を利用して通信を行います。

100箇所以上の中継局が全国に散りばめられており、この中継局をつなぐことで広範囲での通信が可能となります。

くわえて、MCA通信機を利用する際は中継局の利用数に応じて費用と通信距離が変わるため、もしすべての中継局と契約したら全国での通信が可能です。

また、専用の通信網を整備しているため、混信などの通信トラブルとは無縁となります。回線に関しても混雑などの問題は起きないため、快適な利用が期待できます。

このように、通信範囲が全国にわたる点や混信などの通信トラブルが起きにくい点がMCA無線機の魅力といえるでしょう。

アマチュア無線機

アマチュア無線機は個人利用を想定して利用される無線機です。業務用途で利用するのは法律で禁じられており、あくまで個人的な趣味としての利用を求められます。

利用用途や無線機の名前を聞くと気軽に使える無線機のように感じられますが、使用のためには「アマチュア無線技士」という国家資格を取る必要があります。

また、業務用と同様に無線局へ免許の申請も必要となってくるため、無線機の操作にしっかりと取り組みたいという方におすすめの無線機といえます。

そのため、レジャー目的など気軽に無線機を使用したい方は特定小電力トランシーバーなどの利用を検討するとよいでしょう。

まとめ

免許の申請や資格の取得など、無線機の使用は一見すると面倒に感じられます。しかし、種類によっては手続きが不要なものもあります。

手続きが不要な無線機でも品質や利便性の部分はしっかりと担保されており、満足のいくレベルでの使用が可能であるため、無線機の気軽な利用を行いたい方にはおすすめです。

また、免許の申請などが必要な無線機もレンタルという形であれば事前準備をしなくても利用が可能です。そして、レンタルだとランニングコストがかからないため費用の面でもお得です。

そのため、免許が必要な無線機を気軽に使いたい方や本格的な利用の前にお試しで使いたい方は、まずレンタルでの使用を検討してみてはいかがでしょうか。