イベント運営などの業務からツーリングなどのレジャーなど、インカムはさまざまな場面で使用されています。

しかしひとことに「インカム」といっても、用途によって性能や特性は大きく異なります。
本記事では、イベントや商業施設で使われることの多い、トランシーバー型の無線機器としての「インカム」と、バイク用の「インカム」について詳しく解説します。

また使い方や使用する場合の注意点、トラブルの対処法などにもついて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

インカムの種類

インカムとは、ヘッドセットやマイク付きのイヤホンの形状をした、双方向の同時通信が可能な通信機器のことです。

ハンズフリーで使えるのがメリットで、現在では無線タイプのものが主流になっています。

インカムには、バイクツーリングなどで使われるレジャー向けのものと、業務などを中心に利用される一般的なトランシーバータイプのものの2種類があります。

バイク用インカム

バイクツーリングなどでよく使われるのが、バイク用のインカムです。

ハンズフリーで通信ができ、またグループ内通話ができるインカムは、バイクツーリングと非常に相性がよく、今ではバイクツーリングの必需品となっています。

バイク用のインカムは、運転しながらの通話が可能で、複数人でリアルタイムにコミュニケーションが取れるため、ルートの伝達やメンバーの状況把握など、さまざまなメリットがあります。

バイク用のインカムの特徴としては、通信方式にBluetoothを採用していることが挙げられます。
機器も非常にコンパクトで、必要な機材も本体とスピーカー、イヤホンマイクのみと非常にシンプルな構成です。

また、バイク用インカムは機器をヘルメットに装着して使用するのも特徴的です。
インカムを使用する場合は機器本体をヘルメット内部に設置し、スピーカーを耳の位置に固定して使います。

また通話は本体に接続したイヤホンマイクで行います。

バイク用インカムの通信はBluetoothで行うため、使用するためには事前のペアリングが必要です。ペアリングとはBluetooth対応機器同士をグルーピングする設定のことで、これを行なうことで、決められた相手との接続ができるようになります。

またペアリングできる接続台数は機器によって異なるため、使用する人数にあわせたものを用意する必要があります。

トランシーバー

一般的に「インカム」という場合は、無線式のものを指します。いわゆるトランシーバータイプのもので、本体にヘッドセットやイヤホンマイクを接続して使用します。

トランシーバーは電波の送受信の方式が3種類あり、それぞれ通話の仕様が異なります。

• 単身方式
• 半複信方式
• 複信方式

単身方式とは送信と受信で同じ周波数を使う無線の方式で、誰かひとりが送信している間はほかの人は送信できません。

誰かひとりがトランシーバーに向けて話すとそれがいっせいにほかの人にも伝わりますが、現在話している人が終わらない限り、ほかの人は送信できません。

半複信方式では、より広域への通信を実現するために中継器を使います。そのため、複数の周波数を使いますが、通信は単身方式と同様に交互に行います。

複信方式は複数の周波数を使うため、送信と受信が同時に可能です。使用イメージは携帯電話に近く、通信するためには呼び出しを行い、相手が応答するのを待つ必要があります。

単身方式、複信方式は同時通信ができませんが、ハンズフリーで一方的に送信できるのがメリットです。

複信方式は同時通信ができるため、情報量の多い通話を迅速に行いたい場合に向いています。一方で相手の応答を待たねばならず、通話中は機器を離せないというデメリットがあります。
それぞれメリットとデメリットがあるため、場面や用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。

インカムの使い方

インカムの使い方は、無線の単身方式と複信方式、またバイク用のものとでやや異なります。
単身方式の通信は下記のように行います。

1. 送信ボタンを押しながらマイクに向かって話す
2. 同じ周波数に合わせている全員に音声が送信される
3. 通話の最後に「〇〇さん、どうぞ」と発信を促し、送信ボタンを離す

交互にしか通信ができないため、自分の発信の最後に「どうぞ」と発言が終わったことを示す必要があります。

複信方式の使い方は、携帯電話とほぼ同じです。

1. 送受信する一方が送信ボタンを押して相手を呼び出す
2. 呼び出された相手が送信ボタンを押して応答すると通話が開始する
3. どちらかが送信ボタンを押すことで通話が終了する

またバイク用のインカムは次のような手順で使用します。

1. 通話したいインカムの本体機器同士でペアリングを行う
2. ペアリングした機器同士で通話を行う

またバイク用インカムのなかには専用アプリが用意されているものもあり、アプリを使うことでスマホを使った接続などが可能になります。

インカムにおけるノイズや音飛びの対処法

インカムを使っていると、ノイズや音飛びに悩まされる場合があります。
単純に音が聞き取りづらい場合は、スピーカーの音量の調節や位置を工夫することで、状況が改善する場合があります。

またイヤホンやマイクの劣化によって性能が落ちてしまうこともあります。そのような場合は交換が必要です。これらの対策を行なっても改善しない場合は機器的なトラブルの可能性があるので、業者に見てもらいましょう。

またインカムが不調な場合は、それぞれ次の対処法を試してみましょう。

トランシーバー(インカム部含む)の場合

トランシーバーが不調な場合は、次の方法を試してみましょう。

• 音量を上げる
• 口元とマイクの距離を近づける
• 指向性の高いマイクに変更する
• イヤホンのイヤーピースを耳のかたちにフィットしたものに変える
• ヘッドセットやイヤホンマイクの端子部分を本体にしっかりと差し込む

トランシーバーが使われるのは、イベントや大型商業施設など、周囲の騒音が際立つ場所が多く、音量や聞こえ方の問題であることも少なくありません。

マイクが周囲の音を拾いすぎてしまうような場合は、一定の向きの音だけを拾いやすい指向性の高いマイクにすると、こちらの音声が明瞭になります。

イヤホンのイヤーピースのフィット感が悪いと、音声が聞き取りづらくなってしまいます。
耳のかたちにあったものに変えるなど、対応するとよいでしょう。

また無線のタイプによっては、電波が地形の影響を受けやすい場合があります。壁や柱のない開けた場所に移動するか、周波数の切り替えを行うなど、電波を受信しやすくする工夫が必要です。

バイク用インカムの場合

バイク用インカム特有の原因としてありがちなのが、Bluetoothによる不調です。

Bluetoothの通信が不安定になったことで、音声が途切れたりノイズが混入したりすることがあります。ノイズや音飛びで不安定な場合は、以下のポイントをチェックしてみましょう。

• Bluetoothの電源を入れなおす
• Bluetoothのペアリングを繋げなおす
• インカムの電源を入れなおす
• 周囲にあるほかのBluetooth機器の電源をオフにする
• マイクを口の近くに設置する
• スピーカーとマイクを離す
• イヤホンマイクのプラグをしっかりと接続する
• 本体のバッテリーを充電しなおす

なお、バイクでインカムを使う場合には、安易にボリュームを上げすぎないようにしましょう。周囲の音が聞こえづらくなり、他車との位置関係や距離などが把握できなくなる場合があります。
走行中の安全性が確保できなくなるため、機器の不調がある場合は修理に出すなどして、早めに解決しましょう。

スムーズな無線通信のために抑えておきたいポイント

無線を使っていると、さまざまなケースが発生します。

ここで、無線通信をスムーズに行うためのポイントについて解説します。

電波が弱い場合

無線機の通信範囲は機器の性能によってほぼ決まりますが、通信の環境や状況によっては、機器の性能が発揮できない場合があります。

たとえば地形や建物の材質、移動の速度やアンテナの性能によっても電波が弱くなってしまう場合があります。

通信が途切れる場合は、これらの原因によって通信範囲が狭くなっている可能性があります。

このような場合は、電波の受信しやすい場所へ移動することで、状況が改善することがあります。

建物の中にいる場合は、窓際や高い場所に移動してみるとよいでしょう。また屋内で繋がりにくい場合は、屋外へ出るのも解決方法のひとつです。

混信を防ぐ場合

無線を使っていると、すでに使っているチャンネルを他の利用者が使おうとして起こる混信が生じる場合があります。

混信はこちらの利用者だけではなく、他方の利用者の通信にも影響を与えてしまいます。

無線でチャンネルを設定したら、そのチャンネルの使用者がすでにいないか、まず確認しましょう。通信に誰かの音声が入ってこないかを確認し、こちらから「誰か使っていませんか?」と確認を取ることも必要です。

すでに使っている人がいた場合は、別のチャンネルを探します。

またチャンネルを使用中にほかの利用者が割り込んできた場合は、すでに使っている旨を伝えましょう。

電波は公共のものです。

お互い正しいルールとマナーのもとで、譲り合いながら使いましょう。

車などで使用したい場合

車の運転中に無線を使用する場合は、道路交通法に抵触しないよう、使い方に注意する必要があります。車を運転しながら片手で携帯電話を使用した場合、道路交通法違反として5万円以下の罰金刑が課されますが、これは無線機も対象です。

道路交通法では片手で耳に当てながらの通話や操作は禁じられているため、本体に送受信機が搭載されているタイプのトランシーバーなどは使えません。

ハンズフリーで使えるタイプのものなどを、法的に認められたかたちで使う必要があります。

まとめ

インカムは使い勝手のよさから業務のみならずレジャーなどでも幅広く使われるようになっています。

しかしインカムであればどれでもいいというわけではなく、機器の特性と通信方式によって、使える用途には向き不向きがあります。

特にトランシーバータイプのものとBluetoothタイプのものとでは想定される利用場面が大きく異なるので、準備の際にはご注意ください。

またインカムを使うなかで音声が聞き取りづらくなるなどのトラブルも出てきます。
正しく対応することで解決できることも少なくないので、ぜひ本記事を参考に対応してみていただければと思います。

インカムについては、本サイトでもレンタルから購入用のものまで幅広く用意しています。
また機能もいろいろ選べるので、ぜひ用途にあわせたものを選択していただければと思います。

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